データリンク・AWACS

ロシアのイメージからSu-27は格闘メインの単独戦闘型におもわれがちですが、「Biryuza」データリンクシステムを搭載し、A-50メインステイ早期警戒機やGCIとのデータリンク結合による警戒管制をうける事が可能であるためAWACSからの暗号秘話通信を復元しMFDに目標・友軍状況を表示することができます。
とは言うもののA-50AWACSも例に漏れず整備不良や予算不足の問題があるため、事実上「格納庫の女王」になってしまっているのでカタログ通りの運用はほぼ不可能であると思われます。データリンクとは言っても米空軍のE-3セントリーを基幹としたF-15やF-16、そしてF-22などのJTDIS搭載機によるデータリンクシステムとは比較にならないほど信頼性は落ちます。ですので運用されてももっぱら音声に頼っているのが実情です。
A-50セントリーは1991年湾岸戦争では多国籍軍のエアオペレーションの傍観者としても使用されました。

それゆえにSu-27のデータリンクシステムはAWACSによる早期警戒管制よりも戦闘機相互間による通信に重きが置かれています。4機〜5機程度のSu-27と、最低1機のSu-30の群れは相互データリンクされており、100Km前後の幅広い間隔で並列に配置されてレーダー索敵を行います。Su-27は友軍機が探知した目標も自らが探知した目標と同じに扱えます。そのうち1機のSu-30コマンダー機は「群れ」を指揮することによりAWACS機能を模擬することができ、比較的安易にデータリンク網を築き上げることができることができます。

この編隊(編隊と呼ぶにはあまりにも離れているが)をレーダー視程400Kmとも言われるSu-30MKに置き換えて、長射程ミサイルR-37を搭載したらどうでしょうか?前方数百キロに渡り、不完全ながらも広範囲な制空権を握ることができるでしょう。このようなデータリンクはMiG-31フォックスハウンドとR-33エイモス長射程ミサイルによる地域防空ミッションにより確立されたたシステムでもあります。

実は西側戦闘機にも同じような能力はあるのですが、データリンクはAWACSを介しており、AWACSに対して依存度の違いがシステムの違いとして見て取れます。仮にE-3セントリーが撃墜された場合、大きな指揮障害をもたらすことは確実です。むしろ混乱に近い状況が生まれるかもしれません。それに対してAWACS依存度の低いロシア戦闘機は戦闘機相互間による指揮通信網を確立することにより「空中では決して壊されない」データリンクシステムを作り出しています。E-3セントリーによる管制と比較してまだまだ未熟なシステムではありますが、将来には大きな可能性を秘めています。




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