〜GSh-301〜
ロシア名 | :ГШ-301(GSh-301) |
航空機搭載機関砲としてはM61A1バルカン20mm機関砲が最も有名ですが、GSh-301,30mm機関砲はバルカンと比較しても決して劣ると言うことは無い優秀な機関砲です。
M61A1バルカンの連射速度は100発/秒で、GSh-301は25発/秒と桁一つバルカンの連射速度の方が高い訳ですが、回転式機関砲であるバルカンは回転が安定しはじめるまでの約0.5病の間、弾道にブレが出来てしまう上に連射速度も下がります。そのため2秒間で発射できる弾丸は150発とスペック値を割りこみます。(安定し出すと秒100発〜120発という恐るべき能力を発揮しますが)
それとは対称的に単砲身のGSh-301は発射開始直後から安定した弾道と高い連射速速度を維持することが可能です。通常戦闘機の射撃は0.5秒か1秒がいいところであるため、単砲身の方が都合がよい事がわかります。GSh-301が二秒間で発射できる弾丸重量は70発で28Kg。M61A1では150発で27Kg。単位時間あたりの発射できる弾丸重量はGsh-301はM61A1にも勝るとも劣らないため、連射速度に劣っていてもそれはスペック値ほど問題にはなりません。
ただし、やはり大型機関砲であるために初速が遅いと言う欠点を持ち合わせてもいますが、命中したときの破壊力は20mmとは比べ物にならず、高G起動中のF-15やF-18の主翼の根元あたりにでも命中すれば、主翼は1発で飛散してその敵機は片翼での飛行を余儀なくされるでしょう。実はSu-27がM61A1のPGU-28弾を食らっても同じように一発二発で致命傷を受けてしまう可能性があります。第二次世界大戦でもなく、大型機関砲で爆撃機を攻撃するような御時世ではあるまいし、空中戦で30mmの利点というのは少ないようにも思えます。
では、何故30mmという大型機関砲を搭載しているかというと地上掃射という任務にあります。さすがにA-10のアヴェンジャーほどではないにせよ30mmガンを食らって平気でいられるような装甲車はそうはいないでしょう。戦闘機による地上掃射の重要性は「ヤーボ」が活躍していたころに比べて格段に下がってはいるとはいえ、いまだ有効な地上攻撃手段には違い有りません。F-15Cのような純正バリバリの戦闘機を落とすための戦闘機であっても地上掃射訓練が実施されています。GSh-301は40mmの装甲を貫通する威力があります。
GSh-301の搭載数はたったの150発。1回の射撃が1秒だとすると6回しか射撃のチャンスが無いことになります。Su-27設計技師の話にこういうものがあります。
「GSh-301の命中率がこんなに高いのなら弾倉を半分にすればよかった。」
さすがに誇張した表現だとしても、機関砲射程と変わらないほどの最小射程を持つR-27アーチャーを装備していれば事実上使う価値の無い兵装だと言えます。事実、MiG-31の一部の機体では機関砲が撤去されています。真の意味でのミサイル万能時代を迎える21世紀には、誇り高き空の騎士達の決戦兵器であった機関砲に活躍の場は与えられない「かもしれません。」
名称 | GSh-301 |
砲身全長 | 1.90メートル |
砲身重量 | 175キログラム |
最大連射速度 | 1500〜1800発/分 |
初速 | 860メートル/秒 |
装甲貫通力 | 40ミリメートル |
弾丸全長 | 30センチメートル |
弾丸重量 | 384〜394グラム |
弾頭 | AO-18 炸裂・徹甲弾 |
有効射程 | 航空目標:200〜1800メートル 地上目標:1200〜1800メートル |