Su-35/Su-37

Cy-35/Cy-37

Su-35及びSu-37は、スホーイが中国へのライセンス生産契約で得た資金を元に自社製作された実験機で、姿かたちこそ他のフランカーシリーズと同一ですが、中身は全く別物の、より高度な進化を遂げた発展型です。なおSu-35,Su-37にロシア空軍は一切関知しておりません。また採用への関心も薄いようです。
(以降断り書きが無い限りSu-35を主眼に書かれており、Su-37はそれに準じます。)

戦闘機搭載レーダーとしては最高の能力を持つZhuk-PH N011マルチモードフェイズドアレイレーダーを装備し、N011が地上動目標探知、地形追随、合成開口レーダーモードをサポートしたため、単座のマルチロールファイターとしての能力を高められ全天候でも精密に対地攻撃を実施することも可能になりました。
フライトコントロールシステムはアナログ式フライバイワイヤであったものから4重系統バックアップのデジタル式へと換装され、カナード翼の追加で三面翼ことスリーサーフェス形態となってます。スリーサーフェスの制御は非常に高度な空力学的制御が必要であり、アヴィオニクスに劣るとされるロシア機のフライトコントロールシステムではその潜在能力を活かせていない(ダメダメ)とされていますが、スリーサーフェスの実用機が登場(Su-30MKI)しているので、重大な欠陥であるというレベルではないようです。

(Su-35)
より大きくなったテイルコーンには強力な後方警戒レーダーが搭載されて、後方へのミサイル攻撃が可能となりました。30%出力の大きなAL-37Fターボファンエンジンは上昇力、加速力、燃費の大幅パワーアップを実現しています。

セントラルコンピューターをはじめとする、フライトコントロールシステム、火器管システム等、アヴィオニクスにおいて遅れをとっていたロシア機ですが、Su-35の登場により西側に追いついたといえます。グラス化されたコックピットを見れば直感的に理解できるでしょう。
誤解が無いように付け加えておきますが、コンピューターの進化は世界的に加速しているのは周知の事実です。ロシア機が西側に追いついたとは言うもののそれは1980年代の機体にであり、実のところ西側の最新戦闘機はさらに先へと進化してしまっています(むしろ差は大きく開いています)。


(全てSu-35及びSu-37のコックピット)

面白いことにK-36射出座席は30度傾けられており、一部のSu-35では通常の操縦桿ではなく、サイドスティックを採用している機体も存在します。F-16以降、F-22やラファールといった新型戦闘機も同様の配置がなされていることからも、今後このような形式が主流となるのではないでしょうか。上の写真の一番右のコックピットは新型のMiG-29と非常に酷似しています。

Su-37はSu-35と殆ど同型機であり、唯一大きく違うのはエンジンが推力偏向型のAL-37FUに換装されていることです。二次元推力偏向(TVC)が可能となったため、より戦闘機離れした機動を行うことが可能となりました。


(Su-37)

2002年現在、Su-35/Su-37を導入している国はありません。韓国次期FX計画でSu-35が提案されており、タイフーン、ラファール、F-15Eらと競合中ですがおそらく韓国はF-15Eを採用すると思われます。

Su-35/Su-37が最高のフランカーであることは違い無いのですが、中国やインドはSu-30MKを購入しSu-35/Su-37はスホーイの必死の売込みにも関わらず、さして興味をしめしている国はありません。将来Su-35/Su-37を導入する国があるかも知れませんが、どちらかというとこの2機種は技術立証機の役割を担っているように思えます。仮に採用する国は無くとも、他のフランカーシリーズでその技術が活かされる事は間違いないでしょう。
なお、現存した2機のSu-37うち1機は墜落、もう1機はTVCが外されています。

例えSu-35/Su-37を採用する国が今後出てきても、そのとき既にフランカーよりも次の世代であるF-35JSF等のステルス戦闘機がはばをきかせているであろうことを考えると、それらに割り込んでSu-35が市場を広げるのは難しいと言えます(アメリカに戦闘機を売ってもらえないようなならず者国家はともかく)。



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